好きなことをするための仕事ブースト術 --書評-- なぜ、あなたの仕事は終わらないのか

Life Is Beautifulの中島さんの仕事術本。アスキーでCADの開発やマイクロソフトWindowsの開発など携わるなど有名プログラマー

なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である

なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である

 

仕事配分は8:2の法則で

締め切りまでの時間を100%とするとき、最初の20%の期間で8割の仕事を完成させよう、という話。特に、ドラゴンボール界王拳20倍のイメージで過集中して、その間に8割の仕事を終わらせる。

これは同じプログラマーの弾さんも、(弾言決弾 のどちらかだったかな?)1日のうち2、3時間ものすごく集中して時間と心に余裕をもたせるべき、的な話があった気がする。

認知資源を有効に

効率性という観点では、有限のリソースである「認知資源」を最大限有効活用しようということになる。意思決定や細かい作業などは認知資源を消費するものとされている。

アップルのジョブズさんも、仕事を終えて帰宅すると立っていられないくらいふらふらだったという話を聞いたことがある。それくらい認知資源を使う仕事というのは精神的に消耗するのだろう。

消耗するので昼寝をすべき、という考えも同意できる。私も仕事中仮眠することがあるが、20分弱が目覚めが良く、精神力も回復すると実感することが多い。

ビルゲイツの「AとBとは独立した問題だ 」思考について

中島さんはゲイツさんとも仕事をしていたので、彼の思想に触れることも多かったようでいくつかのエピソードを載せている。その中で印象的だったのが、ゲイツ氏の口癖の1つで「AとBとは独立した問題だ」というものがあるという。

具体例として、大事なクライアントに対しマイクロソフトの不手際で関係性が悪化しそうになったケースがある。社内はソフトのバグが原因ではないかとなり、いそいで修正に取り組み大混乱となったらしいが、ここでゲイツさんはクライアントがマイクロソフトのセールス担当者を嫌っていることが問題だと見抜き、担当者を変更してクライアントの怒りを収めたという。

当たり前のようだけどこれはとても深い言葉と感じた。プログラムのデバッグ作業にこのような発想が必要で、どこにバグがあるかを推論する際によく使う思考回路のようだと思う。

どんなに複雑な問題でも、分割して互いに独立した問題に切り分け、そして重要な順にリソースを集中して各個撃破していく、このプロセスはデバッグにも経営課題にも応用できるだろう。

結局、好きなことを探すこと、そしてそれを続けること

本書の最後の部分で出てくる話。最初の方で界王拳20倍の集中力を発揮せよ、とか朝一スタートダッシュで仕事の8割を終わらせろ、とかいう話が出たときに、打ち込める対象(どうしてもやりたくて仕方がないこと)が無いと厳しくないか、という疑問が心にひっかかったのだが、本書の最後のところで見事落としてくれた。

結局、好きなことを見つけることが一番で、この時間術は好きなことを達成するためのブースターとしての手段なのだ、ということを教えてくれる。

 

読みやすく、要点がまとまっており、最後に熱い想いもあり読んで良かったと思える本でした。