現代ヒトモノカネ、ヒト(知恵)ってすごいね --書評-- 弾言
社会を考える上でヒトモノカネの観点から見るというのは昔から基本だったが、弾さんの考える現代におけるヒトモノカネ論を垣間見れる本。キーワードは、
- ネットの普及で知恵へのアクセスコストが劇的に安くなったこと
に尽きるといっても過言ではない。これを軸に現在の世界を見渡すと以下のような結論が導かれる。
- モノは増えないので、ヒト(知恵)を使いモノを効率的に使うことで、カネを増やすことはできる。
- 産業構造の変遷も、価値創造(カネ)におけるヒトモノの貢献度からみると、第一次産業(モノ)、第二次産業(ヒト<<モノ)、第三次産業(モノ<<ヒト)←今ココ、ときれいに整理される。
他に読んでて楽しかった目から鱗ばなしは、
- 今の日本は80代→60代でカネが循環しており、カネが滞っている: "少子高齢化で変わる世界" (Kindle の位置No.1090)
- 金持ちが1億円使う場合、1億円の高級車を1台買うよりも、100万円の一般車を100台買うほうが社会全体の経済効果は高い(=100万円の一般車の方がたくさんの知恵が含まれている): "よどむカネ"(Kindle の位置No.1122)
- ベーシックインカムによる社会保障=ストックのフロー化する: "ベーシック・イン カム は、ストックをフロー化する"(Kindle の位置No.2127-2128)
など。ベーシックインカム話は初めて考えたからとても面白かった!これはまだ消化不良なので受け売りレベルだが、色々調べて自分の考えに昇華できればと思う。
第4章のモノは所有できない、という話で"どんなモノでもせいぜい80年レンタルにしかならない"という文は面白かった。確かに土地ですらそうで、そう考えると中国共産党の土地使用権というアイデアはとてもすごいと思った(弾さんは一時期中国に住んでたからこういう発想ができたのだろうか?)。
あと、"自分が勝てるゲームを作る"(Kindle の位置No.1256)とかで、全人類がニッチ市場を創ることができるだろう、という弾さんの信念といえるようなものを知ることができたのは良かった。
確かに、
- 昔: 自分の強みを1軸もって突き詰める(たとえば相撲が強い→横綱になる)だったのが、
- 今: 3軸で強みを構築してニッチを創出する(たとえば相撲が強いxSNSコミュ力が高いx実家の稼業が餅屋→相撲部に入って大学相撲大会で全国大会くらいまでいって有名な力士とコネクションができて、SNSを使ってその有名な力士とコラボして、実家の餅を新しい販路で販売する)、
ことができるようになった。
次元が上がると(この例だと1次元→3次元)、空間(体積=縦x横x高さ)は指数的に広がるため、
- 場所取り(自分の占有するパイ)ゲームは軸を増やせば増やすほど簡単になる、というルール。
- あと人口が200年前から桁違いに増えてるので、1軸だと競争が激しすぎる(運の要素がでかすぎる)というルール。
本書で扱うテーマが社会保障やエネルギー、自己投資など多岐にわたるだけに、前提知識によってテーマ別理解度が凸凹するはずだが、章末毎に関連する書籍が紹介されているので、この中から興味のある分野の本を読んでレベルアップしてから再戦すると、また新しい知見が得られると思った(結構このリストから本買ったので書評偏るかも。。)。
P.S. これだけの内容をKindle版100円って、知識のアクセスコスト安いですよ、をさりげなく地で行くあたりなんか弾さんらしい。。